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「聴く/聴かれる」という関係は、力をあたえることもあれば、力をうばうこともある力の不均衡をうみだします。それは聴く技術の問題ではありません。むしろ、聴くことそのものが暴力へとなりやすい、あやうい行為である、ということです。
第1部では、作曲家として世界各地にて人と自然環境の関係性を問うプロジェクトを展開する樅山智子さんから、植民地主義的な暴力のなかで「聴かれることを拒否する声」が存在すること、そして、その声がもつ不透明性への権利を尊重するような聴くことの可能性を模索する意味についてお話しいただき、それをうけて、ほんまが、「当事者」「対話」ということばが社会で氾濫することの問題点を指摘し、南米におけるパウロ・フレイレの識字教育やアウグスト・ボアールの演劇などの実践を例にあげながら、「聴く/聴かれる」の非対称性にもとづく専門家とクライアントの関係ではない、抑圧やマイノリティの状況のなかでうまれる表現のゆたかさとつよさについて、話します。
第2部のワークショップでは、このふたりとともに、じっさいに、会場参加者のあいだで、対話というものがうまれるのかどうか、ささやかな試みをおこないます。
(ほんまなほ)
写真:
樅山智子『Listening Within the Opacities of Our Times and Places(その時代その場所における不透明性の中で聴く)』2022
本ワークショップでは、植民地主義と「聴く/聴かれる」ことの関係や抑圧の状況のなかで生まれる表現に光をあてる実践を手がかりに、私たちはどのように対話をはじめることができるのか、参加する皆さんと探究します。
①「〈聴くこと〉の政治と倫理を問うポストコロニアルの作曲実践:『その時代その場所における不透明性の中で聴く』の創作と検証から」
プレゼンター:樅山智子(作曲家、アーティスト、通訳者)
②「マイノリティの表現と対話をめぐって:当事者主義と専門家主義のはざまで」
プレゼンター:ほんまなほ(大阪大学COデザインセンター教授、ガムラン奏者)
「テーマ」をさだめず、会場で対話がうまれるための試みを行います。
樅山智子
作曲家、アーティスト、通訳者
スタンフォード大学にて音楽と人間生物学を学び、オランダ王立ハーグ音楽院作曲科で研鑽を積む。世界の各地で人と環境の関係性を問うサイト・スペシフィックなプロジェクトを展開。周縁化された人々や異分野の専門家等と協働し、対話を媒介しながら複数の物語を紡ぎ合わせることで、非人間中心主義的なパラダイムから世界を聴くための新たな共同体の音楽を探求している。
https://www.tomokomomiyama.com/
ほんまなほ
大阪大学COデザインセンター教授、ガムラン奏者
臨床哲学を専門に、哲学プラクティス、対話、こどもの哲学、フェミニズム哲学、多様なひとびとが参加する身体・音楽表現についての教育研究を行う。著書『ドキュメント臨床哲学』、『哲学カフェのつくりかた』『こどものてつがく』(共編著)ほか、『アートミーツケア叢書』監修。
2023年12月16日(土) 14:30-17:30
※2023年度プログラムA~D通し受講生は、13:30-14:00に同会場でオリエンテーションを行います。
京都芸術センター・ミーティングルーム2(南館3階)
https://www.kac.or.jp/
20名(要事前申込・2023年12月15日締切)
※申込多数の場合は、2023年度プログラムA~Dの通し受講者を優先させていただきます。
→定員に達したため受付を終了しました。(2023.12.15)
無料
《無料託児サービス》
若干名受け付けます(先着順)。
2023年12月8日(金)までに下記のフォームからお申し込みください。
無料託児サービス申込フォーム
《記録アーカイブの公開》
後日、本WEBサイトの「WEB CONTENTS」で字幕付き記録動画または抄録を公開予定です。
住所:京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
〇JR「京都」駅から地下鉄烏丸線に乗り換え「四条」駅下車、22・24番出口から徒歩5分
〇阪急京都線「烏丸」駅22・24 番出口から徒歩5分
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〇京都市営バス「四条烏丸」下車、徒歩5分(3・5・201・203・207系統など)